明治時代に設定された抵当権を抹消することはできますか?
不動産を売却する事になったのですが、明治時代に設定された抵当権が付いている事が判明しました。
抹消することはできますか?
抵当権者が現存する場合
抵当権者が個人の場合は、お亡くなりになっていることが多いと思います。
抵当権者が法人の場合も、法人がそのまま現存することは少ないと思います。
もし現存する場合は、その個人・法人に、抵当権抹消登記の協力を求める事になります。
抵当権者は現存はしないが吸収合併・相続等により権利を承継したものが存在する場合
権利を承継した方に、協力を求める事になります。
※なお、上記の場合で、当事者の協力が得られ無い場合、抹消登記を求める訴訟を提起することもあります。
抵当権者が行方不明の場合
行方不明の場合は、単独で登記の抹消を申請できる下記の特例があります。(不動産登記法第70条)
(c)の手続による事が多いです。
(a)公示催告手続の除権決定(不動産登記法第70条第1項・第2項)
(b)被担保債権の消滅証明情報の提供(不動産登記法第70条第3項前段)
(c)被担保債権の弁済期から20年の経過+弁済供託(不動産登記法第70条第3項後段)
不動産登記法第70条
登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百四十一条 に規定する公示催告の申立てをすることができる。
2 前項の場合において、非訟事件手続法第百四十八条第一項 に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で前項の登記の抹消を申請することができる。
3 第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。